今回紹介するおすすめの1冊『最新版 おこづかいをあげよう』は、金融リテラシーの高い「お金に強い子」に育てるための、子どもへのおこづかいのあげ方を教えてくれる本です。
著者は以下のお二人。経済学や教育分野の専門家であり、子どもが自立するまで育てた子育て経験者でもあります。1
横浜国立大学名誉教授。博士(経済学)。
金融教育の専門家で娘2人の父(お二人ともご結婚されている)。
教育ジャーナリストであり、26歳の息子の母。
「おこづかいプロジェクト」の実践者。
ただ、専門家というだけではなく、実際に子育てをする上で実践してきた方法というところに説得力がありますね。
『最新版 おこづかいをあげよう』をおすすめする人
「おこづかいのあげ方に悩んでいる」
「子どもの無駄遣いを減らしたい」
「子どもが将来お金に困らないようにしてあげたい」
「子どもが大きなマネートラブルに巻き込まれることを防ぎたい」
そんな悩みや思いをもっている方には、ぜひ読んで実践してほしい一冊です。
『最新版 おこづかいをあげよう』は、実践的な金銭管理やお金のトレーニングをするためのアメリカの「おこづかいシステム」を日本仕様の「おこづかいプログラム」としてまとめたものです。
『最新版 おこづかいをあげよう』を活用して、それぞれの家庭に合わせた「おこづかいプログラム」をつくれば、「お金に強い子」に育てる金融教育や、自立に向けたキャリア教育を行う最適なツールとなってくれるでしょう。
わが家では『おこづかい練習帳』にならって始めた「おこづかい」がとてもうまくいき、結果として「おこづかいこそがマネー教育として、そしてキャリア教育として、また、自立に向けた家事スキルトレーニングとしても有用で最適なツールである」という確信をもつことができました。
「最新版 おこづかいをあげよう」より
『最新版 おこづかいをあげよう』のポイント3選
おこづかいについて悩んだ時、参考にできる「おこづかい本」はたくさん出版されていますが、以下の3つのポイントから、まずは本書を読んでみることをおすすめします。
・子ども向けマンガで、子どものやる気アップ
・「おこづかい契約書」や「シゴトカレンダー」ですぐ実践できる
・小学生の頃から、中学、高校、大学まで見通せる
子ども向けマンガで、子どものやる気アップ
本書の冒頭には、子ども向けマンガ「ぼくのおこづかい」が掲載されています。
ほしいものを手に入れるためには、おこづかいをもらえばいい!というところから始まり、おこづかいプログラムの「カイギ」「コウショウ」「ヨサン」といった10個の項目をわかりやすく解説しています。もちろん振り仮名付きで、私の娘(当時6歳)は、リビングに置いてあった本書を勝手に読了していました。
ただリビングに置いておくだけでおこづかいの導入の土台が出来上がるというのは、本当にありがたいですね!
家族の一員として「シゴト」をして「セキニン」を果たすことでおこづかいをもらえるといったおこづかいの意味や、「カイギ」や「ヨサン」で適切なおこづかいの金額を考える流れが分かりやすく説明してあり、読むだけで「おこづかい」のポイントを理解できるようになっています。何より子ども自身のやる気アップにつながります。
小学校1年生からおこづかいプログラムを始めた我が家でも「やる気アップ効果」を実感しています。
「おこづかい契約書」や「シゴトカレンダー」ですぐ実践!
子ども向けマンガ以外にも「おこづかい契約書」や「シゴトカレンダー」といった、本書をコピーするだけですぐに使えるワークシートも用意されています。
・シゴトMENU 子どもが自主的に取り組みやすい「家のシゴト」一覧
・ヨサンワークシート おこづかいの使い方や適切な金額を考える
・おこづかい契約書 きちんと署名までする契約書フォーマット
・シゴトカレンダー きちんと「家のシゴト」を継続するためのカレンダー
どれも「おしごとプログラム」をスムーズに実践するためにとても便利で、我が家でもすべて活用しました。
特にほしいものや必要なものから、おこづかいの金額やその使い方を考えることができる「ヨサンワークシート」は、ぜひ活用してみてください。
おこづかいの金額は、つい「○年生なら何円くらい」「○円は多すぎる」と親の経験や感覚で決めてしまいがちですが、きちんと予算を立ててみることで、大人も子どもも納得した上で、適正な金額を決めることができます。
ちなみに、『最新版 おこづかいをあげよう』では、「子どもの年齢×100円=1週間のおこづかい額」という目安を提案しています。
7歳の子供なら、一週間で700円、一カ月で2800円です。
「高い!!」「そんなにあげていいの?」「毎週あげるの?」と思った方。
実は…、私もそう思いました(笑)
でも、その料金設定にはきちんとした理由があり、結局わが家もこの目安を参考におこづかいの予算を考えました。
・「ほしいもの」だけでなく、ノートや鉛筆といった「必要なもの」が金額に含まれている。
・「貯金」のためのお金も含まれている。
・低学年のうちは、一週間ごとに渡した方が管理がしやすい。
当然、子どもですから無駄遣いはします。ですが、「あれは失敗だった」「今度はこうしよう」と失敗を生かせるようになる、ということに大きな価値があると感じています。
また「おこづかい契約書」では、いつ、いくらおこづかいをもらうのか、そして家族の一員としてどんな仕事をするのかも書き込みます。
きちんと文章になっていることで、子どもも約束を守ろう、という意識づけができます。
正直、これだけで子どもが家の仕事をきちんとこなせるようになるわけではありません。最初は親の支援は必ず必要ですし、忘れたり、失敗したりすることもあります。
しかし、「契約」という形でお互いに納得して約束をすること、そしてそれを果たすために試行錯誤するということ、それ自体から学べることは非常に大きいと思います。
ちなみにわが家では、毎朝親が起こしにいって、着替えまで手伝っていた娘が「朝自分で起きる」「自分で着替える」「洗濯物をたたんでしまう」ようになりました。
もちろん、甘えたくなる日もありますが、いつも頑張っているところを見ているので、そういうときはたっぷり甘えさせてあげたいな、と思っています。
小学生から、中学、高校、大学まで見通せる
「最新版 おこづかいをあげよう」を読んで一番面白かったことは、筆者である藍家や西村家のおこづかいの変遷がわかるということです。
中学、高校、大学と子どもが成長してくるとお金の使い方も金額も変わっていきます。そのときに「おこづかいプログラム」をどう変化させていくのかがわかります。
・部活や塾の友達と外食をする。
・洋服や持ち物へのこだわり(流行や友達と同じ物がほしい)が増える。
・スマホやPCの代金や使用料。
・部活動(ユニフォーム、運動用具、楽器、遠征費など)
たとえば、中学になってファッションに興味をもつようになったときに「必要な衣服」とそれ以外の「ほしいもの」の境界線を新しいルールを作って決めた話や、携帯電話の使用料が「目が飛び出るほど」になったときの対応等、やはり実体験を読むと、大きな納得感と安心感が得られますね。
奨学金がからむ大学時代のおこづかいについても、藍家&西村家のお金事情を表やエピソードでまとめてくれていますので、何をどこまで親が負担するかを考える上でとても参考になります。
また、おまけとして「おこづかいの総決算」が収録されています。
「おこづかいの総決算」の章では、「マネー教育のゴールチェックポイント」を使っておこづかいをもらって育った子はどんな大人になったかを評価しています。
① 自分の食いぶちは、自分で働いて得ることを理解している。
② 自分の持っているお金以上に使ってはならないことを理解して実行でき ている。
③ 必要なお金、楽しみのためのお金、短い貯金、長い貯金の予算管理ができている。
④ 金銭トラブルに巻き込まれたことがない。
⑤ 人とお金の貸し借りはしない。
ちなみに、藍家の息子さんの評価とその理由は以下の通りです。
① ◎
② ○ 息子はお金があるだけつかってしまうから。
③ △ 大学時代にほとんど貯金をしていなかったから。
④ ◎
⑤ △ 就職前のパリ旅行の費用を両親から借りたから。
母親である藍ひろ子さんの評価は75点。もう一つの視点として、家事能力はかなり高い90点になったとしています。
おこづかいゴール達成度と家事能力を平均して82.5点。
藍家は「おこづかいプログラム」をやってよかったと結論づけています。
この他にも、息子さん本人のコメントや西村家のお嬢さんたちの総決算も記載されています。
わが家は、娘二人なので女の子の事例があってとても嬉しかったです。
おすすめ本『最新版 おこづかいをあげよう』のまとめ
ここまで、『最新版 おこづかいをあげよう』をおすすめする人と、本書を読んで大切だと感じた3つのポイント、わが家の活用例を紹介してきました。
・おこづかいのあげ方に悩んでいる人
・子どものむだづかいを減らしたい人
・将来お金に困らないような子にしたい人
・子どもが大きなマネートラブルに巻き込まれることを防ぎたい人
・子ども向けマンガで、子どものやる気アップ
・「おこづかい契約書」や「シゴトカレンダー」ですぐ実践できる
・小学生の頃から、中学、高校、大学まで見通せる
子どものやる気を高める工夫をしながら、「おこづかい契約書」や「シゴトカレンダー」で実践するためのハードルも低くしてくれている良書です。
また各家庭に合わせてカスタマイズするための考え方も丁寧に紹介されています。
個人的には豊かに暮らしていくためには、お金の知識は必須だと思っています。
ぜひ「おこづかいプログラム」を実践して、「お金に強い子」の土台づくりを始めてみてください。
では、今日も「好い日」でありますように。
- 著者のプロフィールは「最新版 おこづかいをあげよう」出版時のものです。 ↩︎